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『ロジック』は、
場末が良く似合う洋風居酒屋だった。
コンビニで100円の透明傘を買った美奈世は
余り踏み入った事のない駅裏をキョロキョロしながら歩いていた。
土砂降りのせいで 人通りはほとんどなかった。
少し歩くと
その先には、木彫りの看板を提げた 小洒落たアンティークなお店を見つけた。
看板には『ロジック』と書いてあった。
美奈世は恐る恐るドアを開けた。
カウンターの向こう側には
ショットバーを気取ったお酒のボトルが逆さにセットされていて、
無口だが眼差しの優しいマスターが
そこに居た。
7時5分前だった。
風間はまだ来ていなかった。
どうしていればいいものやら…
美奈世は マスターの掌に促されるままにカウンターの一番左端に座った。
「連れがいるので…
その人が来てからお願いします」
と言って、
美奈世は手持ち無沙汰な様子で
うつむいていた。
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