集中豪雨の晩に…

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うつむく美奈世の目の前に グラスが滑り込んで来た。 「トワイライトゾーンです。 サービスです。 どうぞ…」 7時ジャスト… お店のドアが開き 風間が入って来た。 正直なところ 本当に風間が現れるのか 美奈世は半信半疑だった。 風間は とてもスーツの似合うダンディな男だった。 「やぁ!待たせたね、こんなお店でよかったかな?」 美奈世は言葉も出せず、 ただ微笑んで 首を横に振っただけだった。 外は、雨が降り続き… 時折 雷が凄まじい音と光を放っていた。 店では カントリー風な家庭料理が、 風間の見立てで注文され カクテルも様々な種類を飲んだが… 何を何杯飲んだのかも、 何時間そこにいたのかも分からない位に 美奈世は酔わされていた。 ただただ 風間の隣にいるという幸福感だけに浸っていた。 トイレに立つ足も、 ママならなくなって来た頃… 風間はタクシーを手配し レジを済ませ 美奈世を抱き抱えるようにして店を出た。
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