博士 サチウ

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十二棟の廊下に靴音が響く。 白い壁がどこまでも続いている。 外の気温とはうって変わり、ひんやりとしたコンクリートの冷たさが伝わってくる。 こんな陽のあたらない場所に研究室を置くこと自体変わり者だと思うが、それはそれで博士らしいと納得したりもする。 サチウは実験室の前で立ちどまった。 プレートを確認する。 ≪外出中≫となっている。しかし《外出中》以外の表示を見たことがない。おそらく博士はなかにいる。 サチウは訝しげにプレートを見つめながら、どうでもいいことだと思いノックした。
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