160人が本棚に入れています
本棚に追加
人混みの中、なんとか賽銭箱の前までたどり着いて初詣をする。
「何お願いした?」
「えっと、ナツくんがケガしないよーにって…」
そして、おみくじ。
「うわぁ…末吉だぁ…!」
「おー勝った!俺中吉だ!」
こんな、ドコのカップルのやっていることも、夏希とだとより一層楽しかった。
時刻も1時を過ぎて、おれらは駅に向かう。
大晦日は、終電がない。本当は朝まで一緒にいて、初日の出を見たかった。
しかし、それを出来ない理由があった。
「明日から、頑張ってね!」
夏希が、さっき買ったばかりのお守りを渡してくれた。
「おう、ありがとう。電車の中でメールしよう。あと、帰ってきたら日の出見に行こうな」
夏希は微笑みながら可愛くうなずき、改札を抜けていった。
夏希が見えなくなって、俺はひとつため息をついた。
俺は明日から、恒例の、元日に始まる地獄の冬合宿なのだ。
最初のコメントを投稿しよう!