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「大丈夫なの?」
「わかんないっすよ」
奈津美は話声で目を覚ました。
「おっ!生きてたみたいだぜ!」
目の前には短髪で顎髭をはやした男がいた。
「大丈夫か?あんた名前は?学生さん?」
奈津美はなにがなんだかわからなかったが、とりあえず自己紹介をした。
「……奈津美。樋口奈津美です。高校生です」
「俺、香田慶二!23歳。フリーター。よろしく!なっちゃん!」
「よ、よろしく…」
奈津美はこうゆうタイプの人間が苦手だった。初対面にも関わらず、あだ名で呼ばれるのは尚更だった。
「…あ、あの。ここはどこですか?何で私こんな所に…」
奈津美は改めて周りを見回した。窓は無く、扉が一つと部屋の中央には小さな円形のテーブルが置いてあった。そしてそのテーブルに向かって何かをいじっている女性が1人いた。
「う~ん…俺らも何でここにいるかはわかんねぇんだ。気がついたらこの部屋にいたんだよ。ねぇチエさん」
そう言われて、テーブルで何かをいじっていたチエと呼ばれた女性が奈津美の方をジッと見つめた。
「あなた、ゲーム好き?」
「…はい?」
「ゲーム好きかって聞いたの。」
「まぁ…嫌いじゃないです」
「そう…。じゃあ、とりあえずこっちに来て。香田君あんたもよ。」
慶二はしぶしぶ立ち上がった。
「あの人、教師らしいんだ。俺苦手なんだよね」
慶二は頭をかきながらテーブルに向かった。奈津美もその後をついていった。
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