もう一つの部屋

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「なんてこった…なぜ私が…」 男が頭を抱えながら嘆いていた。 「あの…とりあえず自己紹介しませんか?」 「そうね…じゃあまず私から。名前は元宮瑞希って言います。美容師やってます。」 「僕は中川翼です。高校生です。」 2人が自己紹介を終えると、座り込み頭を抱えながら嘆いていた男が突然立ち上がった。 「いちいち自己紹介なんかするんじゃない!あのテープ聞いただろ!生きるか死ぬかなんだぞ!」 「でもとりあえず名前ぐらいは…」 「ふん…他人と協力して助かるもんか。どうせ裏切られるんだ。私は先に行かせてもらうよ。」 そう言うと男は名前も言わず、部屋から出て行った。 「何なの、あの態度!名前ぐらい教えなさいっての」 瑞希はブツブツ言いながらテーブルの上に置いてあったカプセルをしげしげと見つめていた。 「しょうがないですよ。この状況じゃ…」 「えっと翼君だっけ?君は心が広いね。私はああゆう人間は大っ嫌い!よくあんな性格でゲーム最後まで生き残れたなって思うもん。」 瑞希はカプセルをポケットにしまうと今度は部屋をウロウロしだした。 「瑞希さんはなんであのサイトに?」 「私?うーん…実は好きな人が進めてくれてさ。その好きな人とゲーム中だけでもペア組めたらなぁ~と思ってたんだけど、その人もう別の人とペア組んでてさ。悔しくてとにかくクリアして賞金だけでも~と思ってたんだけど……こんな事になっちゃってさ。もう、最悪だよ。翼君は?」 「僕は彼女と暇つぶしに参加しただけです。でもなんかどんどんいい感じに進んじゃって」 「へぇ~、いいなぁ。ラブラブじゃん」 「でもなんか変な感じだったんですよ。ゲームの世界だから殺したって問題ないのにすごい罪悪感を感じて。彼女ともう辞めようって最終ステージまで行ってやめたんです。そしたら…。」 翼は彼女の事が心配になった。
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