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僕は急いで天にも縋る思いで電話に出た。
「もしもし…母さん?」
『真也!?あなた…』
千恵子が何か言おうとしたが、僕の声量の方が大きかったので、構わず遮って話し始めた。
「あーっあのさ、今山手線に居るんだけど…」
そう言った途端、電話越しでざわついた声が聞こえた。僕と千恵子の間には暫く沈黙が続き、ざわめきはずっと続いていた。長い。僕は日本の13時は今日から夜になったのかとか、殺人とか銃刀法違反って犯罪じゃなかったの?とか色々聞きたかったが、何故か喋ってはいけない気がしてずっと黙りこくった。
およそ3分ぐらい黙っていた母がやっと口を開いた。
『……次、どこの駅なの?』
「次?えーとね、
“事故現場”駅なんだけど。」
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