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“ひめゆりの搭”駅。
プシュー
ドアが閉まり、発車した。
電車の速度から生まれた風と、突然降り出した雨のお陰で、車窓に付着した血液は電車の走る逆方向へスルスルと流れ、薄くなっていき、終いには消えていった。この電車にしがみついているようにも感じた。
次の駅は“ひめゆりの搭”駅で辛うじて確認できた。
?
ズボン越しに何か規則的な振動が伝わる。ブー、ブー、ブー、ブー
「!!」
振動の源は携帯電話のバイブレーションだった。やっと繋がったのか…!
賺さず携帯電話をズボンのポケットから取り出し、画面を開き、見た。
母、千恵子からだ。
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