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「あ、シローン!おーい!」
高校へ行く初めての通学路。そこでシロンは後ろからかけられた声に反射的に振り向いた。
「あ、アークか…驚かさないでよ…」
そこに立っていたのは、ヘキサドラゴンのアーク。シロンとは同じ年齢で、今年晴れて高校に入学を果たしたのだ。もっともこれには様々な憶測や噂が飛び交っており、果たして正規入学できたのかは皆の怪しんでいるところである。
「そーんなビビらないでくれよ…。せっかく久しぶりに会ったんだからさー!あれ?グリードーは?」
きょろきょろと周りを見回しながらアークは言った。いつもなら諸事情から一緒に暮らしてるグリードーと一緒にいるのを良く見かけるから、今日も一緒に登校するんじゃないか、と思っていたらしいが、何故か姿は見えない。
「久しぶりって言っても最後に会ったの昨日じゃん。むしろアークの顔見ない日が珍しいよ、最近は。グリードーは…今日は用事があって朝起きたらいなかったよ。あれでいろいろと忙しいみたいだしねー、大変だよね、グリードーも」
グリードーとシロンはその境遇の為に中学校のころからアルバイトなどをして生計を立てている。シロンの親が残した金もあるものの、そればかりに頼ってもいられないため、学校側にも許可をもらってアルバイトをしている。ここでいろいろと突っ込みたいところがあるとは思われるものの、そこは我慢して読み進めていただきたい。
「…そっか、君たちはいろいろと大変だもんねー…僕も出来る限りなら援助してあげたいけど、こっちもいろいろあるから……」
途端にアークは暗い表情を浮かべた。どうやらアークにもなにやら事情があるらしい。
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