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「あ、い、いや…別にいいよ!アークの方が大変そうじゃん…今は、大丈夫なの?」
シロンはまずい話題に触れてしまったとばかりに慌てて話題を変えようとしたものの、アークの状況が気になるのでついつい聞いてしまったのだ。しかしその答えは期待したほどいいものではなかったのだが。
「あんまり大丈夫じゃない…かな?まぁ、いざとなったらまた君の家にお邪魔させてもらうよ…」
「う、うん…いつでもおいでよ。僕らじゃたいしたことは出来ないけど…」
途端に会話が途絶え、重たい沈黙がその場を支配する…と思いきや。
「ありがとー!やっぱシロン大好き!」
急に笑顔になって、アークはシロンに抱きついた。シロンはそれが空元気だと言うことは重々分かっていたのでとりあえずアークの好きにさせておいた。そして、腕時計を見た瞬間に自分が今何をしようとしていたのかをようやく思い出した。
「ち、ちょ!アーク!時間ヤバいよ!入学式始まっちゃう!」
アークも同様に8時10分を指している時計を見て、事態がかなり深刻なものであることを理解したようだ。
「うわあ、これは走らないとまずいんじゃないかな…!いくよ!」
何故かシロンの手を引いて走り出すアーク。そして彼らは、曲がり角を右に曲がり、走っていった。
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