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グツグツとヤカンの中のお湯が音を立てた。
倭服に身を包んだ―年頃は13~14位だろう―少女がヤカンのお湯を急須に入れお盆に湯呑みと急須を乗せると台所を出た。
縁側を歩く。
塀の外では行き交う人々の声や商人の物を売り歩く声と様々な声が入り交じっていた。
まだ時刻はお昼前、昼時には一層賑やかさが増し、この通りのピークを迎える。
「兄上、お茶が入りましたよ」
障子を開けながら少女は中に居る男にそう言った。
「ん?あぁ、小春(こはる)、すみませんね」
見ていた資料から目を離し顔を上げると明日羅(あすら)は微笑んだ。
「少し休憩にしましょうか、丁度お昼時みたいですし」
そう言って明日羅は小春が入れたお茶を一口飲むとふぅ…と溜め息を吐いた。
「どうですか?お仕事の方は」
「最近…日に日に依頼の数が増えてきている様な気がします…魔物が活発になりだしている、何か…良くない事が起こらなければ良いのですが…」
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