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「えぇ、分かってます。無理をするつもりはありません」
騒がしい塀の外に目を向けて微笑んだ明日羅は続けた。
「ただ…皆さんの為ですから、気を抜けないのも事実です。近々、協会の方で集会があるかもしれませんね」
「もう…やっぱり心配です」
小春は苦笑いを浮かべた。正に、いつもそう言って無理してるんですから…と言っている様だった。
城の時計塔が昼の鐘の音を告げた。
通りは先程よりも更に騒がしくなっていた。
「さて…こんなにいい天気なのに家に籠っているのも勿体ないですね…散歩がてら外に昼食でも食べに行きましょうか?」
「いいですね、たまには」
ニコリと笑って小春は頷いた。
「確か…もう一つ向こうの通りに…」
と、明日羅が言い掛けた時、玄関の戸が開く音がして、
「明日羅先生!!明日羅先生はご在宅ですか!?」
慌てた風なその大声は家の隅々まで響き渡った様だった。
「おや…?あの声は…」
少し怪訝な顔になって明日羅は玄関に向かった。
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