第1章[動き出した時間]

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「ややっ!ご在宅でしたか!良かった!」 明日羅を見るや玄関に立っていた初老の男性はほっと胸を撫で下ろした。 「やはり材木店のボッシュさんじゃないですか、どうかされましたか?」 「実は…町外れの森に妖怪が現れまして…」 「妖怪…ですか」 妖怪、と聞いて明日羅の顔が険しくなった。 「えぇ…先に氷堂(ひょうどう)さんとレックス君が先に向かっていかれましたが一応明日羅先生にも報告してくれと氷堂さんに頼まれまして…」 「分かりました、すぐに向かいましょう」 頷くと明日羅は書斎に戻り自分の刀を持つと玄関に戻って来た。 「怪我人は?」 「伐採作業をしていたウチの若い衆が数名…大した怪我ではないみたいなんですが…」 「そうですか…小春、怪我人を家に運んで来ます、薬を煎じておいて下さい」 「分かりましたわ、兄上」 小春の言葉に頷くと明日羅は玄関を飛び出した。
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