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「虎丸、虎丸っ!!」
家の前に出た明日羅は急に叫んだ。
主人の呼び掛けを聞いた虎丸は屋根の上でひなたぼっこの最中で今、正に夢の世界へと旅立つ所であった。
旅立ちを邪魔された虎丸は1つ伸びをすると軽い身のこなしで明日羅の前へと降り立った。
「主よ…我は昼寝の時間なのだが…」
「急ぎの用事なんです、協力して下さい」
そう言うと明日羅は素早く指で印を切り、呪文を唱えると虎丸の体が輝き出す。
輝きが強さを増すと同時に[白い猫]の姿をしていた虎丸がみるみるうちに[白い虎]へと姿を変える。
「ふぅ…全く人遣いの荒い主であるな…」
「あなたは虎でしょうに…」
明日羅は1つ苦笑いを浮かべた。
「して…何処へ向かえば良いのだ?」
「町外れの広場までお願いします」
「承知した、振り落とされぬようしっかりと掴まっていろ」
虎丸は明日羅が自分に跨ったのを確認すると空へと飛び立った。
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