序章[全ての始まり]

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―真っ赤だ…― 村は炎に包まれていた。飛び交う怒号と悲鳴、そして焦げた嫌な臭い。 いたる所に斬られ倒れた人々の屍が転がっていた。老若男女見境なく… その村の中央に青年が1人佇んでいた。 ―止めなきゃ…止めさせなきゃ…!― 汗が頬を伝い地面に落ちた。青年の剣を持つ手に力が入るも足が震えて動かない。 ふと倒れている女性に目がいく。 何かを守っている様な格好で倒れている女性、背中には数本の矢が刺さっている。 青年は回り込んで女性の胸部を覗き込んだ。胸部と地面の間に小さな少女…気を失ってはいるがまだ息をしている。 ―今から連れて帰ればまだ助かるかもしれない…― 青年は女性をそっと抱き抱え、どけると下になっていた少女を抱き上げた。 腰に巻いた布で少女を包んで目立たない様にすると青年は一気に駆け出した。 これが青年がこの場で出来る唯一の正義だったのかもしれない…
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