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「駄目ですよ、せっかくの楽しいショーの最中なんですから」
冷たく笑う男、口元は笑っているが目は笑っていない。
「さて…最後の時が近付いて来ました、何か言いたい事はありますか?」
その言葉に妻は涙を流す。
「いいですねぇ…その涙、この世を去り行く者に相応しい…」
「子供達だけは…どうかお助け下さい…」
振り絞って出した声はか細く頼りない。男に聞こえているのかどうかも定かではない位だ。
「そうですか…分かりました」
ふっと男は微笑んだかと、思うと急に真顔になり、
「やれ」
と短く言った。今までとは違うトーン、冷たく感情を持たない声だ。
男の言葉を合図に大斧が天高く振り上げられた。
「ぐっ…!くそッ…!!」
頭を踏み付けられながらも身をよじり必死に立ち上がろうとする夫。
「止めろ…止めてくれぇ…」
最後は懇願する様に言った夫を見下ろしながら男は手を上げた。
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