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一時の沈黙があった。
男と夫、二人は睨み合ったまま動かない。
大斧の刃は今か今かと男の合図を待ち天高くに停滞していた。
「神よ…この罪深き女性にどうか安らかな眠りを与えたまえ…」
芝居が掛かった様にそう言った後、男がニヤリと笑った次の瞬間、上げられた手が勢いよく下ろされた。
待ち兼ねた大斧は待っていましたと言わんばかりに妻の首目掛けて振り下ろされた。
「止めろォォォッ!!」
夫の叫びが響いたその後、ズンッ…と鈍い音が辺りに響き、大斧の刃が地面を抉るように突き刺さっていた。
ドサリ…と無情にも妻の体が倒れる音がした。
「白節ぅーッッ!!」
妻の名を呼び地面に突っ伏した夫。
「素直に子供の居場所を教えてくれれば、もう少し生き長らえていられたものを…」
男は妻の体に歩み寄ってふっと微笑すると、
「しかし…残念な事に…」
倒れ既に屍と化した妻の体を踏み付けると続けた。
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