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「そうはさせませんよ…ククッ…」
微笑すると男は荒々しく夫の太股から刀を抜き取った。その切っ先からは真っ赤な鮮血が滴り落ちる。
「鬼王(きおう)…と呼ばれた瀏黒季(リュウ・コッキ)も地に墜ちたものですねぇ…」
「ぐっ…くっ、くそぉ…」
男は刀を鞘に納めると、
「連れて行きなさい、その方には色々と訊きたい事がありますので丁重に…ですよ?」
と再び微笑した。
大斧を持った男は頷くと夫の体をも軽々と持ち上げるとその場から立ち去って行った。
その間、夫は抵抗する気力を失ったのかされるがまま、静かだった。
「さてと…」
男は高台から村を見下ろした。
もう怒号も悲鳴も随分と聞こえなくなっていた。
「最後の仕上げと参りますか…」
そしてまた、男は静かに微笑した…。
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