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ぽつっぽつっ。
サ――――……
急に降ってきた水の粒は土に染み込み、まだら模様を描く。それでも止まらぬ粒は雨となり、大地に降り注ぐ。
湿気を含んだ風がさわさわという音と共に流れ込み、生暖かいものが私の頬を撫でていった。
私は空を見上げていた顔を縁側から見える庭に向けた。
もう手入れを怠って久しいそこは、かつてとは違い、無秩序に草木が生い茂りこの家を覆いつくさんとしているかのようだ。
だが、その中にぽつん、と咲いた花がある。
それは淡いピンク色の紫陽花。
雨の滴をその身に受け、ぼんやりと淡く濡れ光っている。
それが混沌とした緑の森の中、必死に自己主張する様に、私は懐かしさと共に今年もこの季節がやってきたのだと実感する。
そう。今年こそはきっと、
きっとあの人は私を迎えに来る。
その彼を、私は満面の笑みで迎えるのだ――――――
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