ここから僕のスタート

10/10
前へ
/162ページ
次へ
「そうかそうか、これは山吹色のお菓子(賄賂の事)だね?」 和田先輩は、ニヤニヤしながらその封筒を受けとる。 「山吹色のお菓子?何を言ってんすか?」 吉田は、キョトンとした表情で聞き返す。 「分かってる、分かってる。山吹色のお菓子は隠語で、中身はあれだろ?諭吉さんとか一葉さんとかだろぅ?」 和田先輩は、悪~いお代官様みたいな顔で聞く。 「いえいえ、そんなんじゃ無いです」 吉田はブンブンと首を横に振る。 「ならば、これは何だね!?」 和田先輩は、大きな声をあげた。 「韓国海苔です」 吉田は真顔で答える。 それを聞いた和田先輩は、封筒の中身を確認し、無言で……、 封筒ごと韓国海苔を真っ二つにした。 「あぁ!?僕のおやつが!!?」 このどさくさに紛れて、俺はこの場を抜け出した。 気付けば、今日もロクに練習が出来なかった。
/162ページ

最初のコメントを投稿しよう!

505人が本棚に入れています
本棚に追加