まだ折れてないだろう

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「なぁ、摂津~?そろそろ準備終わりそうだし、先輩達はまだ来そうもないから、キャッチボールやらね?」 その時、ボールのカゴを持ちながら的場が話しかけてきた。 「あぁ~、そうだな。先にやっとくか?」 最後のボールカゴを地面に置いて、そう答えた。 俺と的場は、バッテリーという関係もあって、特別仲が良かった。 的場は、うちの野球部で現在ただ1人だけのキャッチャーである。 そういう訳で、3年のキャッチャーが引退してからは、自然とレギュラーになっている。 まだ高校野球に馴れていない的場には、要求されている事も多いだろう。 的場は、その要求に答えようと、ひた向きに努力をしている。 「って、良く考えたら俺の領土が海だけって、理不尽じゃね!?俺、海の藻屑へと消えちゃわね!!?」 とその時、グラウンドから吉田の叫び声が聞こえた。 まぁ、海の藻屑へと消えて欲しいのは正解だ。
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