時空の砂時計

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―誰か、私を助けて― ―この孤独から救って― ―神様、これ以上私の支えを奪わないで― 「……ッ!」 目に映ったのは綺麗とは呼べない空。 湿っていて重たい空気。 しとしとと静かな音を発てて降る雨。 昨日、幸が沢山の雨を流したからだろうか。 「雨か…」 眠っていた体を起こし、ぼーっとする目を擦りながら部屋の扉を見つめる。 「皆は…ッ!」 人の気配がしない。 幸は服を着替え、廊下に飛び出した。 ……………― 誰もいない。 こんな日、幸が生まれてから一度もない。 メイドの部屋に行っても、両親の部屋に行っても、人の姿はなかった。  
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