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執事部屋に行っても人の姿はなく、幸は裸足のまま庭に飛び出した。
「…はぁッ…はぁッ…」
肩で呼吸をしながら噴水の前のベンチに腰掛けた。
「誰も…いな、い…ど…して?」
広い土地に静寂さが手伝い、
彼女の目には涙が溜まっていた。
「なんで私ばっかり…。誰か…助けて…」
小さく呟いた時、体が無意識に動き出した。
「……ッ」
ゆっくり、ゆっくりと歩む足は、
家の玄関を通り過ぎる。
昨夜全力疾走したレッドカーペットをなぞるように歩く。
三分ほどの時が経った気がした。
気が付いたら、目の前に襖があった。
「…おじいちゃんの…部屋」
自分に驚く。
何故祖父の部屋に来たのか、
全く分からない。
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