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震える手で襖を開くと、室内はいつも通りに片付いていた。
「……?」
片付いている部屋の畳に、一つの本が落ちていた。
「…極秘」
太い字でそう書かれた付箋が貼ってある。
若干の冷や汗をかきながら本を開く。
「…時空宝具…時空を行き来出来るといわれる古代の宝具。…時空の女神伝説の主人公、時空の女神の所持品だったとされる。時空宝具は様々な物がある。羽織り、水、櫛など」
エリート家庭教師のおかげなのか、
その文字はすらすらと読み取れた。
「時空宝具…?もしかして、おじいちゃんはこれを題材にした小説を書こうとしてたのかな…」
首を傾げたその時、
―カタン―
すぐ横で、渇いた音が聞こえた。
不思議に思い横にあった引き出しを開けてみる。
「何も入ってないか…」
一息ついた刹那、その引き出しの奥が光っていることに気付いた。
「何かあるの…!?」
引き出しごと戸棚から出し、その奥を調べてみる。
「………ッ!」
古びた箱が、大きな存在感を残して置いてあった。
幸はそっと、その箱に手を伸ばした。
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