12人が本棚に入れています
本棚に追加
賑やかな町に、大きな豪邸があった。
その豪邸には大きな庭があって、
その庭のベンチに一人の少女が座っている。
「暇過ぎるー…」
一言呟いたと思えば、彼女はベンチに横になった。
そして無意識に手足をばたつかせた。
周りには母の好きな花が咲き乱れている花壇があり、彼女が座っているベンチの目の前には大きな噴水がある。
時折、その噴水から水しぶきが飛んできて気持ちがいい。
こんな楽園のような庭。
庭を見る限り、庭の隣にある大きな豪邸はもっと豪華だと伺える。
そろそろお分かりになっただろうか。
彼女、御子柴幸(ミコシバ サチ)の家はとてつもなく大金持ちなのだ。
父親は有名会社の社長。
母親は有名会社の社長の秘書。
さらに祖父は作家という、素晴らしい家系を持っている。
しかし周りからは、冷たい目で見られるので幸自身、この自分の環境を嫌っていた。
高校には行かずとも、トップクラスの家庭教師を雇い、勉強ができる。
その反面、友達が出来ずに幸は孤立していた。
彼女はこの束縛された生活が嫌いだった。
だが優しい家族が大好きで、そんなこと言えるはずがなかった。
最初のコメントを投稿しよう!