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--幸。次の巫女は…お前かも知れん…--
--儂の書斎のあれを見れば…お前は…--
『…ちゃ…ッ!』
ん??
『さっ…ん!』
何??誰??
『さっちゃん!!!!』
微かに聞こえていた声は、ようやく鮮明に耳に届いた。
幸が目を開けた先には汗だくになった茉。
いつもはニコニコして、滅多に取り乱すような人ではないのに…。
彼女の様子から、何かあったのだと悟る。
幸は瞬時に飛び起き、母を見た。
「何かあったの!?」
『おじいさんが!!幻次郎おじいさんがぁ!!』
【幻次郎おじいさん】とは、幸の祖父のこと。
幸が大好きだった優しく、面倒見のいい祖父。
ここ数日、体調が優れなかったために寝込んでいたのだ。
幸の頭には嫌な予感しか残らない。
脳が追い付く前に身体が動き出した。
夜になり、真っ暗な空の下、少女は豪邸に向かって走り出す。
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