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き、気まずい……。
状況を打破すべく口を開くものの、言葉が続かず結局の所だんまり状態である。
「……あれ?コユキさん、顔が……」
横から二人のやりとりを見ていたカイトは、何かを見つけたのか少し身を乗り出してコユキを覗き込んだ。
……どうしたんだ?
同じように俺も身を乗り出す。
「……ッ!?」
コユキは隠そうとするように紅髪の幼女を抱き締めた。
しかし、その前にちらりと見えた白磁のように綺麗なコユキの頬が赤く染まっていたのを見逃さなかった。
「もしかして、照れてる……?」
肯定するようにコユキの体がビクリと震えた。
ほほぅ……。
「カイト、ちょっと耳塞いでろ」
カイトは、えーっと明らかに不満そうに顔をしかめた。
ならば秘策を。
明後日の方を向きながらワザとらしく声を張り上げた。
「あ―っあ―っ、街に着いたら可愛い女の子を――」
「がってん任せろぃ!」
威勢良く承知した馬鹿は、目を閉じ両手で耳を塞いだ。
計画通り……。
俺は心の中でほくそ笑んだ。
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