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『翔さん。お疲れしたぁ。』
『おぅ、お疲れぇ。』
店を出ると外はもう明るくて、その眩しさに目眩がする。
俺達は、夜になるとこのキラキラ輝くこのネオン街にやって来て、陽が登ると帰って行く。
世間では“夜の蝶”
なんて言ったりする。
確かに華やかな世界に見えるかもしんねぇ。
だけど、ホストって仕事は体力も使うし気だって使う。
ただ呑気に酒飲んで高い金を貰ってるわけじゃねぇ。
大きなため息をつき、俺は1人薄汚れた街を歩いた。
夜の闇に隠れ色とりどりのネオンを纏っていた街は…
太陽の光に照らされ
灰色く薄汚い姿を露わにしている。
ゴミ箱は溢れかえり、煙草の吸い殻はそこら中に投げ捨てられていて
俺も吸っていた煙草を投げ捨てた。
見上げると、ビルの隙間から少しだけ朝焼けの空が覗いていて
故郷の蒼く澄んだ空を思い出す。
俺…
何しにこの街に来たんだっけ…ー。
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