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いつの間にか空からはパラパラと粉雪が舞い始め、この汚い街を白く染めようとしている。
手をポケットに突っ込みマフラーに顔をうずめて歩いていると
街の片隅でうずくまっているモノを見つけた。
近付くと、その白い塊は女の子だと分かり俺は焦って声を掛けた。
『だっ大丈夫…!?』
彼女の頭には、さっきから降り始めた雪がうっすらと積もっている。
『………』
その子は朝焼けの空に向けていた視線を一瞬だけ俺の方に向け、膝の間に顔をうずめた。
『おいっ、マジで大丈夫かぁ…?』
再び声を掛けてみるが、彼女はカタカタと震えるばかりで返事をしない。
『こんな所に居たら寒いでしょ?』
『………』
『マジで大丈夫?震えてるよ…?』
その子は、力無く顔を上げると、微かに唇を動かした。
『………っけて…』
『っん?何?』
俺は女の子の前にしゃがみ込み心配そうな表情を浮かべる。
『……助…け…て…』
絞り出された微かな声は、街の雑踏に消えてしまいそうなほどか弱くて…
彼女が差し出した震える手を、俺は無意識のうちに掴んだ。
すると彼女は
そのまま気を失った。
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