不知火 新

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  「だー!終わらねぇ!」 太郎ちゃんの声が生徒会室に響く。 あたしを含めて、皆疲れたような、うんざりしたような、そんな顔してる。 今は文化祭終わった2日後。昨日は振替で学校は休み。 実はこの時が生徒会が1年で1番忙しい日らしい。毎年毎年大変だと、太郎ちゃんが言っていた。 有志団体のお金の計算とか寄付するお金とか報告書とか文化祭アンケートとか… 特に大変なのは有志団体のお金の計算。 各々の有志団体がまとめてくれた使った金額、売り上げ金を計算し直す。 電卓でやればいいのだが、非常にめんどくさい。 「人手が足りねぇ…」 太郎ちゃんが疲れた顔で言った。 「あ、松本…アイツは?もう登校する時期じゃね?」 「そういえば、今朝見たって人がいたような…」 太郎ちゃんと梨夏先輩の会話にあたしは首を傾げる。 「そのアイツ…、って誰ですか?」 「あ、桃は会ったことなかったっけ?」 …?何が? あたしがわけがわからない、というような顔をしていたらしく太郎ちゃんはあたしを見て笑った。 「桃、生徒会の役職と名前言ってみ?」 「え…。会長が太郎ちゃん、副会長が笈川先輩、書記が梨夏先輩、雑務があたし…」 「何か足りなくない?」 太郎ちゃんの言葉にあたしはハッと気付く。 「会計がいない…?!」 「そ。しかも、桃と同じ1年だよ」
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