1章:出会いと始まりの橋の下

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ショートホームルームも終わり、お待ちかねの放課後が始まる。 僕は伝蔵とアニメイトに行く前に、いつもこんな儀式をするのだ。 「一万年と二千年前から愛してるうううううううう」 「八千年過ぎたころからもっと恋しくなったあああああああ」 「一億と二千年後も愛してるうううううう」 「君を知ったその日から」 「僕/俺は初音ミク/鏡音リンが大好きだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」 教室の真ん中で叫ぶ馬鹿二人。 「うっさいわねぇ!」 すごい剣幕で怒鳴られた。 「おお、これはこれはかざりんじゃないか」 伝蔵とおなじくらい長い付き合い(幼馴染みたいなものか)の女の子、飾音音音(カザリネ ネオン)だ。 名前の字に「音」が3つも入っているのは…いつもからかいの対象である。 一家そろって音楽的な家系であることから、娘にも同じ道を歩んでほしいということで母がつけたらしい。 肩まである黒髪をツインテールに束ね、ちょっと釣り目な顔がかわいらしい。 「あんたらは恥じらいっつーものがないのか?」 音音が冷たい目で僕たちを見て言った。 「僕は全然」 「隠すことでもないだろ。愛しているものは仕方ない」 なぜか威張ったような顔で言う伝蔵。 「そうだ、かざりんもアニメイト行くか?」 音音の釣り目がさらに釣り上がる。あ、なんかいいなこの顔 「行かないわよ。あたしはあんたらみたいな趣味はないの。あとかざりん言うな」 「ちぇー。かざりんもこっちの文化に来たら楽しいのによぉ」 バキッ! 音音の拳が飛んだ。 「だ・か・ら!かざりん言うな!」 「クリティカルヒットー!」 床に突っ伏す伝蔵。ナム… 「馬鹿の相手ばっかりしてられないわ。あたしはそろそろ部活行くから」 「わかった。じゃあねー」 ばいばい黒理。と手を振る音音を見送ったあと、僕は伝蔵をついたり蹴ったりしてなんとか起こしたのであった。
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