1章:出会いと始まりの橋の下

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「まったく…この美顔が歪んでしまうジャマイカ」 校門を出た当たりで伝蔵が鼻をさすりながらいう。 伝蔵は男子の中では格好いいほうで、入学当初は女子にも人気があったが、オタクだと分かった瞬間クラスの女子には相手にされなくなってしまったらしい。(音音を除いて) 「まぁまぁ…あれは伝蔵が悪いよ…」 「いや、俺はただかざりんの釣り目な顔が見たかっただけだ…」 「確信犯め…」 たしかに僕もちょっといいなって思ったけど!でも殴られてまで見る勇気ないよ! とか思ってるとアニメイトについた。 あけっぱなしのドアをくぐって、店内に入る。 「んじゃ俺はコピック探してくるぞ。」 「じゃあ僕はDVD予約してくるよ。」 と、その場を後にした。 いろいろなグッズが並ぶここは、街で唯一の小さいアニメイトだ。 たいして品数もないと言えば そうだが…予約したりするのはできるので、ないよりは幾分もましだ。 「とりあえず、これと、これで」 2つほどのDVDを予約して、レジを後にする。 その視線の先に、とある少女が映った。 腰まである長い赤髪をポニーテールに束ねたその少女は、僕と同じ学校の制服を着ていた。 顔はよく見えなかった。 あんな子がいたなんて…知らなかったな… なんて考えていると、いくつかの商品を手に、早歩きで、それでいて優雅な足並みでこちらに向かってくる。会計だ。 「おし、俺のも会計するか。」 と、ここで伝蔵が戻ってきた。 いろいろな色のコピックを数本、レジで会計する。 その間にさっきの赤髪の少女は会計を終わらせて店を後にした。 「会計、終わったぞ」 「じゃあ帰ろうか」 伝蔵の会計も終わったので、僕たちは帰ることにした。
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