ノアについて

6/7
前へ
/14ページ
次へ
トイレをすませて、かよさんはお気に入りの窓際から夕焼けの空を見ていた。 真っ赤な空と、赤とんぼ。そういえば最近とんぼもあんまり見なくなった。 「のあさん。私は、いつおうちに帰れるのかしら。早くおうちに帰りたいねぇ。」 のあは、何も答えられずにいた。かよさんの息子が最後にきたのは、2ヶ月前。面会者は2ヶ月前から誰もいない。 朱。淋しさを更に際立たせる。良くない色だ。ホントに。 「この前けんかしちゃったのが、悪かったかしらね。」 そういえばかよさんは、2ヶ月前、息子さんとけんかしていた。中々息子さんが来てくれなくて、苛立っていたようだ。 「今度来てくれたとき、謝ろうね。」 のあは言った。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加