とある国で旅人は

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国民は二つの種類に分かれていました。 一つは、ボロボロの布を身体に巻いただけの、みすぼらしい人たちの集団でした。 土埃で褐色になっている肌…もしかしたら元からそういう肌の色をしているのかもしれませんが、身体も身に纏っている布も、みんな同じように汚れていました。 男の人も、女の人も、幼い子供も、老人も。 みんな同じように汚れた身体で、同じようにどこかを目指していました。 フラフラと、一斉に岩山を登る異様な姿は、岩山の向こうまで続いていました。 時たまに岩山から滑り落ちる者が居れば、途中で息絶える者も居ました。 それに気を留める者は誰一人居ませんでした。 みな、死体が転がる上を這い上がって行きました。 旅人がその隣を歩いて行くと、今度はもう一つの集団に出会いました。
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