・其ノ一 ~朝~

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植え込みから飛び出してきたのは…俺の身長を軽く越えるくらいの高さで、横幅もかなりある、大きくて、着物っぽいものを身にまとい、地面にまでつく長さの髪の妖だった。   「光様でございますね。ぜひわたくしめを子分にしてくださいまし。」   妖は、俺に向かって言う。 恐れ逃げる妖もいれば、こうして子分にしてくれなどと言ってくる妖もいたりする。   「いや…そういうのは…」   俺は、困りながら言った。すると、妖はショックを受けた顔をして言ってくる。   「なぜですか‼光様ほどのお方なら、他にも子分にしてほしいというモノがたくさんいますでしょうに…何故子分も持たず…」   「いや…だから…俺は子分とかいらないし…」   あまりの妖の勢いに、少し後退りしながら俺は言う。
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