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ヴァルキューリはコクりと頷いた。
…どうやら本当に゙夢の世界"に来てしまっていたらしい。
しかし、自分がどこで命を落としたのかがわからない。
『あのー、ヴァルキューリさん?死んだっつってもオレ、どこでどうやって死んだのか…自分でもよくわかんないんだけど…』
するとヴァルキューリはにこりと笑って答えた。
『あなた、ついさっき電車にひかれて死んだじゃない?』
言われてみればここに来る前は、駅で友人達と帰りの電車を待っていた。しかし、線路に出るような事はなかったのだが…
………!?
『もしかして、アンタ!!』
『どうかしたの?』
『あの時、アンタがオレを線路まで連れたんじゃないのか!?』
ヴァルキューリはもう一度微笑み、答えた。
『あら?私が手を出していたらあなたが勝手に飛び込んできたんでしょう?』
ヴァルキューリのその言葉を聞いたオレは急激な脱力感を感じ、地面に膝をつけた。
コイツ、ぜったい確信犯だろ…
しかしヴァルキューリの言う通り、確かにあの時オレは自分から彼女の方へ歩いた。その先が何なのかも気付かずに…
この時オレは人生で初めて、惚れやすいという自分の性格を悔やんだ。
しばらくオレがそのままの体制でネガティブな気持ちになっていると、ヴァルキューリが呆れたようにため息をついてオレの手を引いて言った。
『まったく…ここにいても仕方がないわ。まずはヴァラスキャルヴに行きましょう。』
『ヴァラスキャ…何?』
『ヴァラスキャルヴは我らがアース神族の王゙ヴィーダル"の住む宮殿よ。あの湖の中心に見えるでしょ?』
そのままオレはヴァルキューリの言われるがままに丘を下り、王がいるというヴァラスキャルヴに向けて歩き出した。
………
ヴァルキューリの手、柔くてあったかいな…
…ちがうちがう!!
オレ、この後どうなるんだ!?
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