第二章

10/28

7人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
 ヴァルキューリは前方にいる人物に向けて何も言わずに歩いている。どうやら話しかけてよいような雰囲気でもなさそうだ。オレは黙って後ろからついていった。   そしてその人物の手前まで歩くとヴァルキューリはゆっくりと止まった。するとすぐに膝をつき、頭を下げた。とりあえずオレも同じポーズをとってみる。 ヴァルキューリはそのままの体勢で言った。   『一人目のエインヘルヤルを連れてきました、ヴィーダル様。早速この者に戦の為に必要な武器をお与えください。』   この人がヴィーダルというのか…白い髭をはやした年寄りで、まぁ確かに王様みたいな姿をしている。ヴィーダルはニコリと笑ってオレ達に言った。   『まぁ待て、二人とも頭を上げろ。そんなにかしこまらなくても良い。ヴァルキューリよ、ご苦労であった。次の使命も同じく、ミッドガルドにおいて強靭なエインヘルヤルを選定するのだ。 …そして、そこの少年…』   『…え?オレですか?』   『そうだ、よくぞここまで来てくれた。…とはいっても、実際にここに来た理由を理解していないだろう?少年よ、聞きたいか?』   オレはフン鼻を鳴らして言った。   『そんなの当たり前でしょ。いきなりこんなファンシーなところに連れて来て…わけわかんないですよ。』   『こら!口をつつしみなさい!!』   ヴァルキューリはそう言ってオレを睨みつけてきたが、ヴィーダルは豪快に笑って嬉しそうにしている。   『がはははは!!若者こうでなくてはな。よし、ならば教えよう。少年よ、お前ばラグナレク"というものをしっておるか?』   『ラグナレク?さあ…』   『゙ラグナレク"とは全ての終わりであり始まりじゃ。   遠い昔、まだわしが若かりし頃…この世界には神と巨人と小人と妖精、そして人間がそれぞれの地で平和に暮らしていた。 しかしそれぞれの地で゙力"を手に入れた神と巨人がその゙力"に溺れ、全てを支配するべく、戦争を起こしてしまったのじゃ。 それによって全ての生物は死に、大地は海に沈み、世界ば一度"終わりを迎えたのじゃ。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加