第二章

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 全てが死んだと思われていた中、奇跡的にも生存者がおったのじゃ。 そればオーディン"の息子であるわしとヴァーリ、゙トール神"の息子であるモージとアグニの四人。生き延びたわしら四人は長い年月をかけて神の世界を再建したのじゃ。建物だけではない…ラグナレクによって殺された神々も作りあげたのじゃ。   さらに、生存者は神だけではなく、人間もいた。名はリーヴとリーヴスラシルじゃ。その二人が子を産み、その子らがさらに子を産んで今の人間界が出来たのじゃ。しかし…』   オレはヴィーダルの話しが長くなりそうな気がしたので、ヴィーダルの言葉にかぶせて質問をした。   『まぁ…ラグナレクが何なのかはわかったけど、それと今のオレとがどう関係あるというんですか?』   『まぁそう焦るな…問題はこれからじゃ。 ラグナレクによって神族は最上級神である゙オーディン"を失った。しかし、巨人族の総帥゙スルト"は生きていたのじゃ。ラグナレクの後、スルトは死者の世界゙ヘル"に移り住み、そこで新たに巨人族の群れを作ったのじゃ。次こそ神族を完全に滅するという目的でな… そして現在、体勢を万全にした巨人族は我々神族に対し、総攻撃を仕掛けようとしておるのじゃ。   神族は巨人族に比べて数が圧倒的に少ない。そこでヴァルキューリに命令して人間界゙ミッドガルド"から死者の魂を集め、我が神族軍の勢力を充実させることにしたのじゃ。 その軍の名ばエインヘルヤル"。お前はその一人に選ばれたのじゃよ。』     ヴィーダルの話しを聞いて全身に鳥肌が立った。しかし、そうなって当たり前である。いきなり世界が終わるだの、それを防ぐ為に戦えだの、つい先程まで帰宅の電車を待っていたただの高校生には話しが大きすぎる。   一点だけを見つめ、何も喋れなくなってしまっているオレを見て、ヴィーダルは溜め息をついた。   『まぁ良い、子供に話すには話しが大きすぎた。答えはまた今度聞くとしよう。今日はもう下がってもよいぞ。ヴァルキューリ、今日はお前の部屋に少年を泊めてやってくれ。』   ヴァルキューリは頷き、ヴィーダルに軽く頭をさげた。そして完全に放心状態になっているオレの手を引っ張って部屋を後にした。
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