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ヴァルスキャルヴを出て、ヴァルキューリの家に着くころにはすでに夜になっていた。
すぐに彼女が夕飯を作ってくれたのだが喉を通らず、ほとんど食べないまま残してしまった。
寝る時間になっても寝れるわけがなく、オレはベッドで何度も寝返りをうっていた。
………ガチャ
『眠れないの?』
ヴァルキューリがオレの部屋に入ってきた。武器や防具を外しているとまるで普通の女性みたいにみえる。
オレは驚いてベッドから跳び起きると、ヴァルキューリはオレの隣に軽く腰掛けた。
『な、何しにきたんだよ…』
『あら強がっちゃって。ところで、もうヴィーダル様に何ていうか決めたの?』
オレはヴァルキューリから目線を少し外して答えた。
『オレに拒否する権利はない。今でも信じられないけど…戦わないと世界が終わっちまうんだろ?まだ生きてるオレの家族や友達が死ぬのは絶対に嫌だ。だったらオレが出来るのは戦う事だけ…わかってるんだけど、体が、頭がいうこと聞かないんだ。
ヴァルキューリ、一度死んじまった人間がまた死ぬとどうなるんだ?正直に答えてくれ。』
ヴァルキューリは眉をひそめて答えた。
『魂の消滅、完全なる…死よ。』
ヴァルキューリの言葉がオレの背中をずんと重たくした。なんとなくわかっていた…なのにそれが真実だとわかってしまうと、恐怖せずにはいられない。
オレはただ下を向いて黙り込むことしかできないでいた。
……………
『一つお話しをしていいかしら。』
沈黙を破ったのはヴァルキューリだった。ヴァルキューリは遠くを見つめながら言った。
『あなたの言う通り、巨人族によって神族が滅ぼされてしまったら人間もきっと滅ぼされてしまうわ。それはただ単純に戦争のとばっちりを受ける訳ではないの…』
『え?だったらどうして人間が滅びてしまうんだ?』
『それはラグナレクの時代にさかのぼるわ。
その当時の神族の王であったオーディンは巨人族に対抗するため、フレイアにミッドガルドで大きな戦争を起こさせるように命令し、その戦争で出た死者の魂を集めて大規模な軍隊をつくったの。
その軍隊の名前ばエインヘルヤル"。オーディンは神とエインヘルヤルをつかって巨人族と戦争をしたわ。
そのせいで巨人族は今も人間を恨んでいる。今回、神族が戦争に敗れてしまうと巨人族が次に狙うのは…』
『間違いなく…人間よ。』
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