第二章

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  目的地に到着したオレ達はすぐに馬車から飛び降り、近くの岩に隠れた。前方を確認すると2つの人影が見える。どうやらあれが巨人族のようである。   『ふむ、敵は本当に2人だけみたいじゃな…ヴァルキューリ、ワシは少年の安全を確保するからお前は巨人族を殲滅させるのじゃ。』   ヴァルキューリは何も言わずに勢い良く岩から飛び出し、巨人の所へ走って行った。   『ちょっとヴィーダルさん!敵が2人もいるのに1人で行かせるのはマズイんじゃないですか!?』   巨人族の2人は身長が3メートルはありそうで体格はシルベスタ・スタローンのような鋼のような肉体をしている。あんな華奢な体の女性が1人で何とかできるレベルではない。   しかしヴィーダルはいたって落ち着いた様子でオレに言った。   『まぁ見ておれ。ヴァルキューリは負けんよ。何せヴァルキューリばニーベルゲンの腕輪"をつけておるからの。』   『ニー…ベルゲン?』   『゙術(すべ)"の事はすでにヴァルキューリから聞いておるじゃろ?゙ニーベルゲンの腕輪"は装備した者の゙術(すべ)"を覚醒させ、コントロールできるようにする道具なんじゃよ。 まぁ百聞は一見に如かず、まずは見てみる事じゃ』   ヴィーダルの話しが終わる頃にはヴァルキューリはすでに巨人族と向き合い、戦闘体制に入っていた。 ヴァルキューリは腰に据えていた剣を抜き、剣先を巨人族に向けて叫んだ。   『巨人族がアースガルドに何の用だ!!その答によっては容赦無く切り捨てるぞ!!』   『……スルト様からの伝言だ。』   ヴィーダルがピクリと動いた。スルト、確かヴィーダルの話しによると巨人族のボス…一体どんな伝言だろうか? 巨人は話しを続けた。   『2ヶ月後…我々巨人族はアースガルドに総攻撃をする。今日はその報告だ。それと…』   突然、巨人族の1人がヴァルキューリに丸太のような腕を振り回した。不意を突かれたヴァルキューリはそれを避ける事は出来ず、苦し紛れに盾を構えた。 巨人の腕は盾を直撃し、ヴァルキューリを横に大きく吹き飛ばす。   『ヴァル…!!』   たまらず叫びそうになったオレの口を、ヴィーダすばやく塞ぎ、小さく笑って言った。   『大丈夫、問題ない。まぁ黙ってヴァルキューリを見ておれ。』
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