第二章

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 ヴァルスキャルヴに到着し、ヴィーダルが前に立つと、今までそれぞれに動いていた神々が瞬時に整列して隊形をつくった。ヴィーダルはそれを確認すると小さく頷き、現地での状況を説明した。   『皆に報告をする。敵は警戒が報告したとおり2名…2名とも現地により撃破した。しかし戦闘を行う前に、その巨人達は非常に重大な事をワシ達に伝えたのだ。   ……2ヶ月後にスルト率いる巨人族が我々神族に総攻撃をしかけるらしい。したがって我々は2ヶ月の間にそれを迎え撃つ準備をしなくてはならない。』   今まで物音ひとつ立てていなかった神々が一気にざわつき出した。 しばらくするとその神の列から一人の男が声を張り上げてヴィーダルに言った。   『お言葉ですがヴィーダル様…現在、神族の数は巨人族に比べかなり少なく、エインヘルヤルもまだ一人しかいません。あと2ヶ月ではとても…』   その神の言葉にヴィーダルは眉一つ動かさすことなく答えた。   『心配するな゙チュール"、我々の戦いにおいて兵の数が問題なのではない…それはオヌシもわかっておるじゃろう?それに…』   『それに?』   『ミッドガルドではすでに゙例の策"の効果が出とる。よってエインヘルヤルの質はラグナレクの頃の比にならないはずじゃ。』   そう言うとヴィーダルはオレの方をチラリと見た。いったい何の事を言ってるのだろうか?しかし今の会話でざわついていた場が一気に落ち着きを取り戻した。例の策とはそんなにすごいものなのだろうか?   『さぁ、今日はこれで解散じゃ。皆夜遅くに呼び出してすまんかったな。ゆっくり休んでくれ。』   ヴィーダルが解散の合図をすると神々は一斉に礼をし、それぞれの方向に歩き出した。   これでやっと休めるのか…   オレとヴァルキューリも帰るために門の方へ行こうとしたのだが、ヴィーダルはオレを引き止めた。   『少年よ、今日はご苦労じゃった。突然なんじゃが、これをもっておいてくれ。』   『……棒?』   そう言ってヴーダルがオレに渡したのは何の変哲もない、ただの棒だった。オレがそれを不思議そうに見ていると、ヴィーダルは、   『もしもの為じゃ、何もないよりはマシじゃろ。』   と言って肩をたたいた。…確かに何もないよりはマシだが。   オレはヴィーダルの行動に疑問を抱いたまま、ヴァルキューリとヴァルスキャルヴの門をくぐった。
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