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『君、何を持ってるの』
ヴァルキューリの家への帰り道でヴァルキューリがオレの持っている棒を不思議そうに見て言った。オレはそれを軽く振りながら答えた。
『さっきヴィーダルに貰ったんだよ。もしもの為に…だってさ。』
『゙様"をつけなさい、ヴィーダル様は万物の王なのよ。それにしても、ヴィーダル様が何故そんな棒を?………!!』
『ん?どうしたの、ヴァルキューリ?』
オレの棒を確認したヴァルキューリは突然驚きの表情を見せた。この棒に何か特別な仕掛けでもあるのだろうか?
『い…いえ、何でもないわ。それより、早く家に帰りましょう。』
動揺しているヴァルキューリの事も気になるが、今はそれどころではない。あんな化け物とこれから戦っていくのかもしれないと思うと、恐怖で自分以外の者の事などはどうでもよくなる。
しばらく無言で歩いていると、ヴァルキューリが口を開いた。
『今は何も考えなくていいわ。強制もしないからまずは気持ちを落ち着かせましょう。』
気を使ってくれているのだろうか。いや、ここまで態度に出していると誰でもそうしてしまうだろう。ヴァルキューリは続けて言った。
『そうだ。明日はここに住む神を紹介するわ。転成するまでは君はここに居続けるわけだし、みんなの事を知っていた方がいいでしょ?』
『そうだね…ありがとう、ヴァルキューリ。』
『任せてよ。私が連れてきたんだから、きっちり面倒は見るわ。だったらまずはウルのい…』
……ドゴン!!
突然、ヴァルキューリが前方に飛んだ。いや、飛ばされたのか。先程みたいに上手く受け身をとる事も出来ずにヴァルキューリは、なす術なく地面に叩きつけられる。
『ヴァルキューリ!?』
『馬鹿め…二人殺したからといって安心しおって。』
『……!?』
後ろを振り返ると、そこには先程見た巨人が腕の筋肉を剥き出しにして立っていた。ヴァルキューリに攻撃をしたのはこいつだろう。
巨人はオレの事がまるで見えていないかのようにオレの横を素通りし、真っ直ぐヴァルキューリの方へと歩いて行く。
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