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『うぁあああ!!』
一瞬、オレの頭の中で何かが弾けたような気がした。身体が煮えたぎるように熱い…そしてその熱がオレの恐怖感や緊張感を瞬時に蒸発させる。
今ならいける…!
オレは今までに出した事がないような速度で一気に巨人に近づき、勢いよく跳び上がった。そして右手に持づそれ"を思いきり振り上げる。
『そんな棒っきれで何ができるのだ?とうとう頭がおかしくなかったか?』
しかし巨人はこちらを振り向く事なく、鼻で笑ってオレの攻撃を受け止めようと手をやった。
それでいい…
『潰れろ!!』
……グシャ
『ぐはっ!ば、馬鹿な!人間ごときが巨人に…!?』
オレの攻撃を受け止めたはずの巨人の腕は不自然に折れ曲がっている。巨人は苦痛に顔をゆがめた。
しかし、それだけでは終わらせない。オレは着地をすると、今度は巨人の膝裏めがけ間髪を入れずに攻撃した。ミシミシと骨のきしむ音が聞こえてくるのがわかる。巨人はとうとうバランスを崩し、地面に仰向けに倒れ込む。
その隙をついてヴァルキューリは素早く巨人の腕から脱出した。そして巨人をオレと挟み込むように距離をとり、剣を構えた。
『ヴァルキューリ、大丈夫!?』
『ええ…それより君、今の攻撃は?』
『ただ思いきり殴っただけだよ。それより今はコイツを何とかしないと。』
巨人はふらつきながらも身体を起こして身を構えた。あれほどの力で打ち込んだのに…とんでもない打たれ強さだ。巨人の体は小さく震えている。
『人間の分際でえぇえ!!』
巨人は全身の血管を浮き出しながら吠えた。全身をビリビリと衝撃が走る。
しかし、今はもうそんな威嚇に怯んだりしない。オレは右手を強く握り絞めた。
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