第二章

26/28

7人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
 ヴァルスキャルヴに着いたオレ達は、真っすぐにヴィーダルのいる部屋に入った。そしてヴィーダルの座る椅子の前で膝をつく。 ヴィーダルも突然の事に少し驚いている様子である。   『どうしたのじゃ?さっき解散したはずじゃ。お前達はもう家に帰ってよいぞ。』   『…早急な知らせがあり、まいりました。』   ヴァルキューリのその言葉を聞くと、ヴィーダルは顔を戻し、真剣なおもむきで言った。   『そうか、それで…早急に知らせとは何じゃ?』   『はい…先程、帰路を歩いている途中で巨人の遊撃を受けました。敵の数は1名、おそらくあの時の残兵だと思われます。敵は現地にて撃破、周囲に敵の気配もなく、ひとまずは安心出来る状況かと。』   『ほう…敵が残っておったのか。戦えない者がいたにも関わらず、よくで対処できた。いや…できて当たり前か。』   ヴィーダルはオレの方をちらりと見て、ニヤリと笑いながらヴァルキューリに言った。   『…グングニルの事について知りたいのじゃろう?ヴァルキューリよ。』   ヴァルキューリは膝を着いたままぴくりと眉を動かす。ヴィーダルは続けて言った   『そういう反応をするという事は…どうやら少年はすでに契約を結んだようじゃな。 グングニルを渡した理由は簡単じゃ。 神器との契約者が一人だけというのは絶対…たとえ四宝であろうとそれを覆す事は無い。』   『ヴィーダル様!!もしかして…!?』   『うむ。ワシとグングニルとの間の契約が破られたのだ。 ワシももう歳…神が四宝を所持していたとしても、それを使うのがこの老いぼれであっては宝の持ち腐れじゃ。 そしてグングニルは少年を選んだ。おそらくグングニルもそれを察してくれたのじゃろう…もうワシにはグングニルの声すら聞こえないのじゃよ。 …少年よ、望んではおらんだろうが今やお前はワシの右腕となってしまった。こうなってしまっては、無理矢理にでもお前にはエインヘルヤルになってもらうしかないのじゃ。』   『ヴィーダル様!!彼にとってそれはあまりにも…!』             『オレ…世界の為に戦うよ。』
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加