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『これは見た目はたいしたことないが、鉄の鎧と変わらんくらいの強度をもつ防具じゃ。少しは敵の攻撃を防いでくれるじゃろう。』
ただの布にしか見えないこの服にそんな機能があるとは…
……
そういえば、オレの服はどこにいったんだろう?
『そうじゃ、何もないのにおぬしがここに戻ってくるのも珍しい。よい機会じゃから少年に挨拶でもしてやってくれ。』
ヴィーダルが男にそういうと男は、首をかしげて服のありかを考えているオレの前へとやってきて優しい笑顔を見せながら軽くお辞儀をした。
『こんばんは。私の名ばフレイ"…今はこのアスガルドの警備の指揮官をしている者です。エインヘルヤルになった事はすでに聞いています。お互い、世界を守る為に全力を尽くしましょう。』
男は長身で、シャープな輪郭、くっきりと大きく透き通るような目をしている。美男子とはまさにこの様な人物の事を言うのだろう。
男はオレに右手を差し出した。オレもついつい手を出して握手をする。
ヴィーダルはオレ達の握手を見ながらニコニコと笑顔を見せていたが、はっと何かを思い出したかのようにオレに言った。
『フレイは神族の中では第三級の階級にあたる神じゃ。本人も言ったが今は警備の指揮官をしており、何か異常がない限りヴァルスキャルヴには戻ってこんのじゃ。
そういえば少年…肝心な事を聞いておらんかったのぉ。おぬし、名は何というのじゃ?』
そういえばまだ名前を言っていなかったのだ。一日いろいろありすぎて名前を言う事すら忘れてしまうとは…
オレは目を閉じて思いきり深呼吸をした。そしてゆっくりと目を開けて答えた。
『オレの名前は神宮 聖。高校3年生だ…!!』
いきなりヴィーダルは足を地面に強くたたき付けた。物凄い音とともに部屋全体に緊張が広がる。そしてオレを睨み付けて言った。
『よし、では神宮 聖。今をもってお前をエインヘルヤルの一員とする!!神々を護り、炎の悪魔スルトを滅する事…』
『それがお前の使命じゃ…!!』
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