第二章

2/28

7人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
      ………パコン!!     『痛ッ!!』   クラスが笑いで溢れた。ふと顔を上げると、シャープな眼鏡を光らせて怒りをあらわにしている国語教師がオレをにらみつけていた。どうやらまた眠ってしまっていたらしい…   オレはそのまま、宿題を忘れたのび太君のように水バケツを両手に持ち、授業が終わるまで廊下に立たされた。         授業が終わり、オレが自分の机に座ると隣のクラスメートが親切にもノートをオレに渡してきてくれた。   『はい、コレ今の授業のノート。聖くん、最近授業中に居眠り多いよね?家でちゃんと寝てるの?』   オレはノートを受け取りながら軽く頭をさげる。   『悪いね…しかし家でもいつも通り寝てるはずなんだけどね。熟睡できてないのかな?』   ここ最近、急に睡魔が襲ってくる事が多くなった。家で遅くまで何かやっているわけでもない…しかし眠たいという事以外では特に体の異常はないので自分自身、あまり深く気にはしていなかった。   この時は……     いつものようにその日の授業を終え、友人と一緒に学校を出た。 そしてまたいつものように、途中で行きつけのゲームセンターに寄りしばらく時間を潰した後に、満足して近くの駅へ向かった。   駅に着いたオレ達は電車が来るまで、またいつものように楽しく話しをする。   『いやぁ、今日のお前は最高だったよ。ヨダレをのばしながら寝ぼけた顔でなぁ!!』   『あのなぁ…あの後大変だったんだぞ。バケツは重いし、足はだるいし…みんなもやられてみたらわかるよ。』   『残念!!オレ達はお前とは違って、バレないように神経を研ぎ澄ませながら寝てるからな。』   『その器用さ…もっと別の所で使ったらどうだ?』     しばらくすると遠くのほうで踏み切りの信号音が聞こえた。電車が来るのももうすぐだ。   こうして何の変化もないまま今日が終わり、またすぐに明日を迎えるのだ。             いつもなら…         しかし…         今日は違った…… 
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加