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五日が経った。
五回目の闇。
この身体にも馴染めてきた頃だった。僕は、五日の夜を宛も無く走り回っていた。
すると、お腹が空いたのだ。
はっきりとお腹が空いたとわかったのは後の事だったが、何か口に入れたくなったのだ。
そう、何者かもわからない僕でもお腹が空いたんだ。
その夜、六日目の夜に少女と出逢った。
最初、少女は白いワンピースに、白く長い髪をしていた。そして、凄く細い手足と体をしていた。
僕が生まれて初めて見た人間だった。初めて人を見た僕でもやはり何か感じるものがあったのだろう。
僕は、少女が酷く綺麗に見えた。
少女は屋敷に住んでおり、ふとお腹が空き、リビングに行くと綺麗な月夜に気付き見ていると月夜を走り回る僕を見つけた、ようだった。
そして少女は僕を見るなり言う。
〝クロ〟と。
それから僕は日が通過する感覚の湧かないまま月夜を過ごし、少女の家でご飯を貰った。
何時もみんなの寝静まる、真夜中の月を見ながら僕たちは過ごした。
その度、少女は僕に会うとその小さく整った顔を綻(ほころ)ばせた。
それが、僕にはとても愛おしく見えたんだ。
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