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風呂から上がり、バスタオルを巻いて出てくるアサギ。
「今日もセクシーだぜ、アサギ……っス」
「おだてんでよろしい」
と、服を着ていくアサギ。黒く縦に白のラインが入ったタンクトップ。黒のショートパンツ、アサギの一張羅だ。
「で、ゼタはいつになったら私を解放してくれんのよ?」
黒髪をクシでとかし、前髪をピンで留め、首にチョーカーをつける。
「大ボスを一撃で葬り去るぐらいになったらだ……っス」
うーん、と小さく唸るアサギ。
「てかさ、主人公って最初は弱いもんじゃないの?」
「なぜだ?………っス
と、ジョニーは尋ねる。
「だってさ、大抵のゲームには成長させていくっていう一つの醍醐味があるじゃない。最初っから強い主人公ってどうなのよ?最初からレベルマックスだったら、つまんないじゃん」
やれやれ、わかってねーな。と、言わんばかりに肩をすくませるジョニー。
「そういうゲームにはある程度の条理というものがある。だがな、お前が主人公となる舞台は十中八九、魔界だ。人間界の常識など全く通じない不条理な世界だ。そんな世界で、ただの人間がレベル1から始めたところで、何も成すことは出来ないだろう。悪魔のレベル1と人間のレベル1は違うのさ………っス」
アサギはソファに腰掛けて、
「はぁ、私恋愛シミュレーションでも構わないんだけど」
机の上にある二丁の拳銃とライフルに目をやる。
幾度となくアサギの命を救ってきたそれらも、今のアサギにはちょっとだけ憎らしい。
「さて、納得したところで新しい課題だ……っス」
と、ポーチから出したカードをアサギに投げるジョニー。それをアサギは指でキャッチし、内容を見る。
「…魔神エフツー」
しけた名前。下にはさらに詳細が克明に書かれている。
「場所はお前のよく知るところだ………っス」
場所を見るとアサギはハッと、ジョニーを見る。
ジョニーはニヤリと笑い、
「そう、今回の戦場は太陽系第三惑星地球、日本!…お前の故郷だ………っス」
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