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「たきしっちゃん、狡いじゃんか~。この子、何処で見つけたんだよう?」
けたたましい音と共にドアを開き、金髪の男が現れる。男に手を引かれる空樹は落ち込んでいるようで、今にも泣き出しそうな目で滝下を見上げた。
滝下は無言で金髪の男を睨み付け、ため息を漏らす。金髪の男は空樹から手を放そうとはせずに、近くの椅子に座り込んだ。
小綺麗な服を着こなしたその男は空樹や時史よりは年上だが、滝下よりは若い。
「滝下さん……すみません……」
「……バレたんですね」
「もしかしてアレでバレないって思ってたりしないよねぇ? オレだってプロだよ? お得意様の髪くらい見分けられるもんね」
得意気に口角を吊り上げ、男は胸を張る。滝下は深いため息を漏らすと、眼鏡を正した。
「香山さんをずいぶんと見くびっていたようです」
「な、時史はまた面白いことするつもりだろ? 仲間に入れてよ」
「……アナタは学生時代から何一つ変わりませんね」
滝下は呆れたように呟くと自嘲的な笑みを溢す。
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