💕可憐可愛いよ可憐💕

放課後……

　ゲームセンターのことで頭がいっぱいになり気付かなかったけど、この時、手をつないでいたからだと思う。

　周りの人たちがチラチラとこちらを見てくるのだ。

　僕はその視線を特に気にしなかったけど、可憐は恥ずかしかったのか、少し顔を赤くしながら俯いている。

　その顔が気になり、僕は足を止め、可憐に聞いてみた。

　大丈夫？　熱があるなら無理しなくても……

　可憐は違うの！　とさらに顔を赤くさせながら首を横に振る。

「ちょっと、恥ずかしかったから……」

　恥ずかしい？

「うん。だって、可憐たちのこと、みんな見てくるんだもん」

　そう言われればそうだね……と可憐に言ったとき、僕は急に可憐をからかいたくなった。

　きっと、可憐が可愛いからみんな見てくるんだよ。

　可憐はそう言われると耳まで赤くし、もうっ！　と言ってくる。

「お兄ちゃん、そんなこと言わないで」

　可憐、恥ずかしい……と俯く。

　僕はこんな可憐を可愛いと思い、愛しいと感じた。

　だからもっとからかってみる。

　可憐が妹で、僕も本当にうれしいよ。

「もう！　お兄ちゃん！」

　可憐はついに無言となり、顔を真っ赤にしながら黙ってしまった。

　あはは、と笑いながら可憐の頭に手を置く。

　すると可憐は小さな……本当に小さな声で呟く。

「私も、お兄ちゃんの妹で、本当に嬉しい……」

「大好き……お兄ちゃん」

　僕は一瞬ドキッ！　っとした。

　妹にドキドキするなんて、もしかして僕は可憐のことを……。

　しかし、それはすぐに心の中で否定へと変わる。

　そんなわけないよね。可憐は妹で、僕は兄。好きになることなんてありえないから。

　そう、それが普通。普通だから……。

　僕はそう無理矢理心に言い聞かせた。

「お兄ちゃん、そろそろ、行こう？」

　顔を赤くしたまま、恥ずかしそうに言う可憐。

　そうだね、と僕は頷き、また可憐の手をつなぎながらゲームセンターへと向かった。